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平野教授のプロフィール

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氏名

平野 丈夫(ひらの ともお)
(e-mail: thirano*neurosci.biophys.kyoto-u.ac.jp)
(*は@に置き換えてください)

略歴

東京大学理学部卒。東京大学医学研究科博士課程修了。
東京大学医学部助手、UCLA medical school、群馬大学医学部
講師、京都大学医学部助教授を経て1997より現職。

主な研究テーマ

シナプス可塑性のメカニズム
記憶・学習のメカニズム

一般向け著書

脳と心の正体。東京化学同人、科学のとびら、2001

自己紹介

私は東京生まれの東京育ちですが、京都に来て20年になりこの町を気に入っています。高校生の頃はどちらかというと数学・物理が得意でし たが、一方で、自分自身の頭の中はいったいどうなっているのだろうかということに興味をもっていました。

大学に入学して脳のはたらきを細胞レベルから理解できるような研究をしてみたいと思うようになり、大学院へ進みました。人など哺乳類の 脳・神経系は複雑で、当時細胞レベルの研究を行うことは難しかったので、単純な神経系をもつ水生の巻貝を用いた研究を始めました。 その後、細胞培養と神経活動を記録するための生理学の技術開発が進み、培養神経細胞と新しい電気生理学の手法を組み合わせることに よって、哺乳類の神経細胞を用いて高度な細胞レベルの研究を行うことが可能になりました。そこで私は、大学院の最終学年の時に小脳の 培養細胞を用いた研究を始め、米国から帰国後に小脳の培養系でシナプス可塑性を引き起こすことに成功しました。シナプス可塑性とは、 神経細胞間で情報を伝えるシナプスのはたらきがそのシナプスの使用状況等により持続的に変化する現象で、学習や記憶の基盤と考えられて います。それを培養系で起こせたことにより、記憶・学習の分子機構を詳しく調べることができる実験系が確立されたのです。

それからは、培養系を用いた細胞・分子レベルの研究を続ける一方、細胞レベルの変化が動物個体の行動に及ぼす影響についても研究を 行ってきました。後者の研究を始めたのには、分子生物学および遺伝子工学の技術開発によりある特定の蛋白質を持たないミュータント マウス等を作ることができるようになったことが関係しています。細胞・分子レベルの研究でシナプス可塑性において重要な役割をもつ 蛋白質がわかりますと、それを欠損させたり逆に多く発現させたミュータントマウスを作成することができ、そのような動物を用いれば 特定の分子や細胞のはたらきが個体の学習・記憶能力にどのような影響を及ぼすかを調べられるのです。

こうした研究を通して、脳・神経系がはたらくメカニズムの全体像をきちんと理解できるようにしていきたいと考えています。

趣味

囲碁、ワイン、おいしいものを食べること。